介護有料老人ホームを考える
一時しのぎにだまされる堂暑参入への期待民開業者のうれしい参入を知ったさて介護保険制度が始まって、思ったよりも利用が伸びないという声をあちこちで聞きます。
特に私が住む地方のような、いわゆる地方都市では、せっかく民間のヘルパー産業が介護保険を機に支所を作り参入の意気込みが見えたのに、肝心の新たな利用者が開拓できずに、撤退を余儀なくしているようです。
この原因が利用者の世間体を気にする意識の問題なのか、一割負担が重荷になるからなのか、それとも、望むようなサービスがないからなのか、真の原因はどこにあるのだろうと、考えさせられていたときでした。
四国の地方紙に「保険適用最低百二十円からOK」という記事を見つけました。
その記事によると、隣の市にあるタクシー会社が、運転手にヘルパー二級の資格を取らせて、身体介護三十分の介護保険サービスを受けた料金を介護保険からタクシー会社が受け取れるように介護保険指定業者の認定を受け、要介護認定を受けた人はその一割負担分として三十分以内の利用ならば百二十円をタクシー会社に支払えばいいことになっている、ということです。
同じ地域でもう一つのタクシー業者も参入したという記事です。
私は周囲のお年寄りが、透析に通ったり、通院したりするのに、タクシー代がかかってどうしたらいいか困り切っておられたり、子どもたちが交代でつき添って、その上タクシー代をかけてという負担を長年続けている例を見聞きしてきました。
これでは、透析費用が無料になっても、タクシー代は週三回、それも死ぬまで続くのですからさぞ困るだろうな、と思っていました。
この記事にあるタクシー会社の案は、そんな方たちにとって、救世主のようなものでしょう。
いわゆる福祉産業とは縁のなかった国土交通省管轄のタクシー会社が、介護保険業者に名乗りを上げるきっかけになったのは何だったのか、今後の見通しは、といろいろ知りたくて、早速そのタクシー会社、Dタクシーにお電話したところ、全ての発案や準備や交渉は社長がやったということでしたので、社長に取材のアポイントメントを取りました。
お約束の日にうかがうと、まだ若々しい青年社長です。
名刺を交換する間も惜しんで、ご自分の介護保険指定業者になった思いや、準備段階を、そして今後の夢を熱く語ってくださいました。
すでに業績はうなぎ登りD社の社長が不景気の中をどう乗り切るか苦慮しているときに、西日本の地方新聞記事で、介護保険指定業者の指定を受けて運営している北九州のMタクシーのことを知ったそうです。
すぐに北九州に飛んだ社長は、先輩会社Mタクシーに指導を受け、自分の会社に講習を依頼し、同時に地域の老人にアンケートを取って市場調査を行い、調べ、次にモニター運行をし、自社の運転手にヘルパーの資格を取らせ、自分は介護保険指定業者になるために東京に飛んで厚生労働省と交渉し、二千年の六月から本格的に介護タクシーを走らせたのだそうです。
青年社長らしい素早い行動力です。
私が「始められてから全体の売り上げは伸びていますか、減っていますか?」とずばりお聞きすると、「準備期間はかなりの赤字でしたが、今月はまた5%のアップです」開始してからは売り上げが放物線状に伸びて、「運賃を取らず、介護サービスのみでやるという英断に踏み切られて、それでも全体の売り上げが伸びているのでしたら、介護タクシーに手を上げる業者も増えるでしょうね」「そうなれば、他の業者よりもっと良いサービスを、とうちの運転手たちも張り切ってくれるのでうれしいですね。
独占形態では質が伸びませんからね。
それに今の状態だと、うちのような小さな会社ではすでに車の台数が不足していますから」私が聞きたいことを先取りして話してくださいます。
「介護タクシーを始められた動機は?」の質問に、「運が三つ重なりましてね。
まず不況のお陰で遊んでいた運転手や車を準備期間に利用できたこと、親父が亡くなったので私の気ままができたこと、そこに介護保険が始まったこと、この三つのどれが欠けてもできなかったでしょうね。
運賃を取らないことにいくらかの不安はあったのですが、やはり何よりも利用者の立場にたって考えて踏み切ったことが幸いしたようです。
まだ運輸業として国士交通省からクレームが入るでしょうけれど、利用者が増えて実績を上げておけば、何とか乗り切れると思います」このマイナス要因を全てプラス要因として受け取る姿勢こそが、成功の否決なんだなと、青年社長の自由でしたたかな強さを持った発想に感心しました。
「実際に利用する方はどのようにして申し込んでいるのですか?」「今はほとんどの方が、ケアマネージャーのプランに通院の予定を組み込んで、予約してくださっていますので、私たちもやりやすいですし、サービスの上限を越えないかどうかの心配もケアマネージャーさんに確認しています。
そして介護保険の三十分の身体介護料の総額百二十円を距離に関係なく、一件につきいただくわけです。
いずれもっと自由に急場にも利用できるようにしたいですし、通院のみではなく、お花見や紅葉狩りなどにもご一緒したいですね」利用者の身になって企画「社長が市場調査を一番に始められたことからだけでも、いかに利用者の立場に立った発想かがしれますね。
こんな発想の方がおられるとはうれしい限りです」ところが社長は、「いえいえ、利用者に喜んでいただいた上に、何よりのメリットは、運転手たちがこのサービスを始めてから、社会貢献意識ができて、全員誇りを持って仕事をしてくれているので、今ではむしろ私の方がはっぱをかけられますよ。
今朝も遠方の病院に行って欲しいという希望があったので、私が迷っていると、運転手が『社長、利用者が困っているのに迷うことないじゃありませんか』ってな具合ですぐに手配しました」「なるほど、保険からおりる金額よりも、安い距離の方もあれば長くて高い方もある、平均で採算が合えばいいのですね」「現在介護タクシーの定期予約者が一か月に四十名です。
ほとんどが透析患者さんなので、週三回として月に一二回、延べ四百八十件になります。
でも、余裕ができたらまだまだやりたいことが一杯ありますよ。
院内付添介護もしたいですし、派遣運転手制度も今申請中です」すっかり長居をして、その会社のタクシーに乗って帰る途中、運転手さんが言います。
「私たちも、介護タクシーをやるようになって、仕事に誇りを持てますし、今までワンメーターで行けるようなところに乗るお年寄りが遠慮されているのが辛かったのですが、この制度にしますと、短距離の方も堂々と乗れますし、ご家族の方の付き添いもいらなくなりますから、とても喜んでもらえます。
それにね、あまりノルマを考えなくてもいいことが我々にはありがたいですね」この日は何だか幸せな気分にさせてもらいました。
介護とは無縁に感じられる業界の方が、こんなにも介護を受ける立場の人の身になってサービスを発案してくださることがうれしかったのです。
このような話を聞くと介護保険制度も悪くないな、と感じられるのです。
まだまだ、介護に関係したサービスがあります。
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Tue Dec 2 04:00 PM
